原木から斧の柄を作った

 今シーズンは気温は低いが、雪は平年並みかな。コロナでスキー場はガラガラです。それでもロープウエイの籠内は三密になっています。「会話はお控えください」とのアナウンス流れているのに、若い男女が喋ったり、オネエチャン達がいちいち愛想笑いするから、ついカーッとなって「兄ちゃん喋んなや」(シーン!)と大阪弁が出てしまう、我ながら嫌なオジンになりました。

 それにしても良い天気です。フラノ盆地と十勝連山が一望でき、中央には十勝岳からの噴煙が見えました。

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 こんなで、スキー場、ホテルも大変でしょうね。還暦から始めた下手くそスキーヤーにとっては、非常にありがたいのですが。

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木割斧の柄をDIY

 地主さんから貸してもらっていた、超弩級の木割斧の柄が折れていたのと、堅木の原木を頂いたので、柄の自作に挑戦しました。

 

これ、出来上がりの記念写真です。

 左端が半割した原木の残材、中央が折れた柄、右端が完成した自作の柄です。斧の重さは5キログラム。長さはヘッドを含めて106センチとなりました。さすがにこのサイズの柄は市販されていません。

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 原木から柄を自作される方は少ないと思います。堅木の原木はなかなか手に入らないですよね。洋材ではヒッコリー(ゴルフクラブ、ドラムスティック)、アオダモ(バット)、樫(ハンマー、クワ)などでしょうか。北海道は常緑広葉樹はほとんどないので、今回もらった原木はおそらくイタヤカエデではないかと思います。アオダモも稀にあるのですが、このあたりでは非常に少ないです。お父様が保管していた大切な100年ものの古材だそうです。

 

(あとは製作過程を長々と綴っておりま〰す。お暇な方だけどうぞ)

 柄の仕込みについては、よくアップされていますが、柄そのものの制作記事は少ないようです。難しそうですが、やってみると意外と簡単でしたので、材料が手に入るようでしたら参考にしてみてください。

 1.原木を縦割り ナタとハンマーで周囲から削ぎ落としていきます。

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2.半割になってしまった

 後から聞いたのですが、通常はヘッドを木の根元方向にして、六角形に周りから削ぎ落として行くのだそうです。最初は1本取るつもりでしたが、途中からもったいない気がしてきて、半分に割ったら、結果オーライ真っ二つに割れました。もし、捻れて割れたら1本も取れないところでしたから。

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3.電気カンナで板状にする

 本当は木のねじれに沿って、ナタで削ぎ落としていくそうですが、体力が無いので電気カンナを使って平面出ししました。

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ヒツ(柄の入る穴)より薄くしないように気をつけなから、可能な限りカンナがけします。

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4.帯ノコで所定の幅に切る。

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幅もヒツより短くならないようにカットします。ある程度は曲線切りできますが、元の柄よりやや太めにしておきます。

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5.差込部の加工

ヒツはテーパーになっていて、入り口が僅かに大きくなっています。おおよその形に差込部を手鉋で調え、その後、先端を僅かに細くしヒツに差し込みます。わかりにくい写真ですが、ヒツの上部から柄の差込部のフィット感を見ています。わずかに隙間がありますが、先端が細くなっているだけで、これ以上挿入することができません。

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上の写真を側方から見ていますが、差込部がわずかに嵌入しているだけです。ここからハンマーで少しだけ叩き込みます。

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6.差込部の仕上げ

 ハンマーで叩き込むと、差込部がヒツの形通りに凹みます。

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 段差をヤスリで削っては、ヒツに叩き込み、引き抜いてはヤスリで削るを繰り返します。

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ほんの少しづつ深く入っていきます。完全に嵌合するまで小一時間かかりました。

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7.嵌合が終わったら、持ち手の部分を丸く仕上げます。最初グラインダーを使いましたが、手鉋が最も効率よく作業ができました。アール部分は船底カンナがあると便利です。最後にサンドペーパーでなめらかに仕上げます。写真はレギュラーサイズの斧と今回の作品を比較したものです。

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 最後に楔を2本叩き込んで仕込み完了(写真撮り忘れました)します。

8.塗装

 塗装に亜麻仁油が良いと合ったので、調べたら「ワトコオイル」という商品を見つけました。

 私はミディアムウオルナット色を塗ってみましたが、なかなか気に入っています。植物油なので、有機溶剤の匂いもなく室内で作業ができますし、刷毛も中性洗剤で洗えるのでお勧めです。

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9.焼印の制作

 あまりに上手くできたので、マークを入れることにしました。焼印はエッチング法なら精細なデザインが可能ですが、有害な薬液を使用するみたいなので、ルーターで手彫りすることにしました。ラジコンに使ったアルミ板の端材があったので、下絵を貼り付けて、ルーターで削ります。もちろん鏡文字ですよ。

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 裏側に取っ手を木ネジで固定します。アルミは柔らかいので、木工感覚で加工が可能です。最後に周囲の不必要な部分を金ノコで切り落せば焼印の出来上がりです。

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 バーナー(カセットコンロでも良い)で熱して、焼き具合を試します。一発勝負なので、随分と練習しました。温度と押し具合によって、薄かったり焦げたりします。

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ちょっと濃すぎたかも。焼き過ぎた場合、サンドペーパーをかけると少し薄くなります。なおマークはクリスチャンマークのイクトウスです。

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試し割りが楽しみです。

コロナ禍で山中籠城の時間がゆっくりと過ぎていく。