ホンダGX610 エンジン燃料ポンプの荒らっぽい修理

汎用エンジン「ホンダGX610」の燃料ポンプを分解修理する機会があったので紹介します。

ポンプは動力ポンプではなく、ダイヤフラム式です。

 

 

用途は、ビーンハーベスタ(豆刈り取り機)に登載、格安で譲っていただいたものです。

 長年使用しておらず、ムース状のキャブクリーナーでエンジンがかかるようになったのですが・・・毎回、燃料タンクからコンプレッサーで加圧しないとエンジンが始動しませんでした。

 試行錯誤の末、燃料ポンプがあやしいと気付き、思い切って分解してみました。

V2気筒614cc、軽自動車なみの排気量です。

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キャブレター周辺

上部の黒いカバーを外すと、キャブレター部にアクセスできます。

緑矢印は空気取り入れ口、取りはずしてキャブクリーナーを注入すると、白煙と共にエンジンが始動しました。しかし、再始動できません。

黄矢印は燃料フィルター:エンジンクリーナーで清掃するも効果ありませんでした。

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燃料ポンプはエンジンの後方に、ボルト2本で固定、3本のゴム管が接続されています。

青矢印:燃料の流れ:燃料タンク→ポンプ→キャブレター

赤矢印:おそらく、エンジンのクランクケースに接続されおり、クランクケース内の圧をポンプに伝え、ポンプ内のダイヤフラム(膈膜)に脈動を発生させます。

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取り外し時、ホースの接続、設置方向等を確認しておきます。

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本体は3層の金属ケースがボルト4本で止られていました。

下の写真は。1層目と2層目を開いています。

 1層目は、クランクケースからのゴム管接続ニップルがついていました(左側)。

 2層目との間には、薄いブラスチック製のダイアフラム(膈膜)が挿まれていました(右側白く反射している)。

 ダイヤフラムの奧には、2組の円形の弁口が見えており、表裏で逆構造をしています(後述)。この室には、ダイヤフラムの脈動によって、下方の円形弁から燃料が入ってきて、上方の円形弁から出ていくものと思われます。

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下の写真は、2層目の裏側(左)と3層目を開いています。

 2層目の裏側は2室に分離され、燃料は下室のニップルから入ってきて、弁口を通って2層目の面側(上の写真右側)に入り、再び弁口を通って上室に戻ってきます。そして、上室のニップルからキャブレターへ輸出されます。

 3層目にも薄い黒色膜が張ってありますが(右)、これはパッキンと弾力板の働きをするものと思われます。

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故障箇所は、上室と下室の弁にありました。

弁は薄膜2枚をゴムブッシュで止めてあり、透明の比較的硬い膜が、黒色の軟らかい膜を上から押さえています。

上下室とも、黒色膜の一部が半月状の貫通口にめくれ込んでおり、弁の働きをしていないように思えます(赤矢印)。

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 修理は、ゴムブッシュをひき抜いて、膜を成型しなおしますが、ブッシュをはめ直すのが難しいので、貫通口から愛護的に黒色膜をひっくり返してもよかったです。

 修理に出すと、ポンプごと交換となるところですが、ここはゴミ等が詰まりやすいところですし、構造も単純ですので、キャブレター清掃できる方は、自分でメンテできると思います。 

 

 模型エンジンの燃料ポンプもダイヤフラム式ですが、分解すると組立不能と説明書に書かれてありますので、今回も恐る恐るの分解でしたが、エンジンは調子良く始動するようになりました。